流浪の月

「事実と真実は異なる」

がキーワードの物語。 誘拐犯の男と誘拐された女の子が主人公、客観的に見れば「犯罪者」と「被害者」。 しかし、そうではない関係が真実としてある。 本書を読むことで、今後ニュースを見た時に事実を鵜呑みにするのではなく真実はどうなのか?というメガネを通すことができるようになる。

また、この物語を通して「本当の優しさ」について考えさせられる。 幼少期に「自分がされて嫌なことは人にやってはいけない」と多くの人は教わる。 逆を言うと、自分がされて嬉しいことは人にやった方がいい、優しいと思うことは人にやった方がいい?概ね正しい。 が、その優しさがただ主観的なもので、相手を傷つけていないか注意する必要がある。

この物語で主人公の女の子は事実から解釈された主観的な「優しさ」という暴力に悩み、傷つく。真実は違うのに。。

優しさだけでなく、あらゆる言葉の客観性を考えさせられる。 物語で女の子は彼氏に「幸せにするから」といわれ、「幸せって何?」「自分が何に幸せを感じているのかわからない」と内省する。

このように、ただ自分の空想の幸せを相手の幸せだと勝手に押し付けていないかとハッと考えさせられます。

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